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講演記録

「MICEにおけるユニークベニューの活用意義・効果について」
2010年6月14日 トラベルジャーナル主催 国際観光セミナーにて 所長 廣江真

 (要旨)
 ユニークベニューの「ユニーク」とは何なのかという質問に対して、多くの方はこのように思っているのではなかろうか。「 ユニークベニューと呼ばれるものはディズニーランドのようなハードウェアが非常に整っている施設のことであり、ユニークとは設備が他の施設と比べ、素晴らしいことである」と。
 確かにユニークベニューのハードウェアが整っていることに越したことはない。しかし、真のユニークベニューとは、主催者の目的を達成するために、様々なユニークな企画を立てたり、通常とは違ったイベントを行ったりすることではないか。つまり、ユニークベニューの本質は、元々ある素材に付加価値を加えて提供することであり、それよって、お客様は本来のものと違ってより素晴らしい満足度を得ることができる。ここではMICEにおけるユニークベニューの意義をインセンティブツアー、国際会議、企業ミーティングの場合で考えてみたい。
 インセンティブツアーは大きく分けてアジアパターンと欧米パターンがあり、アジアパターンは欧米パターンより圧倒的に人数が多いが、その目的は基本的に同じである。それは、企業が高いお金をかけて、選ばれた少数の人に満足を与え、結果的に企業の業績をあげるためである。そういう意味では、インセンティブツアーは計算されたものであり、企業側はこの目的達成をユニークベニューに求める。従って、ユニークベニューを利用してツアーを行った後に、参加メンバーは高い満足感を得て仕事へのモチベーションが高まらなければツアーの意味がない。そのために、ユニークベニューはお客様に対してサプライズの提供が求められる。施設側にとっても今までにない企画を立案することによって良い刺激を受けられる。
 国際会議も同じことが言える。単なる会議施設の提供だけではなく、どのように施設をアレンジして主催者の意図に応えるかはもっとも重要である。特に新しい物事を協同して決めていくことが求められる会議の場合は、施設側のプランナーの力量が求められる。かつて中東で行われた世界経済フォーラムを例として挙げたい。それぞれ10人前後が参加する討論を見て素晴らしいと感じた。会場は蜂の巣の形に作られ、議論を進めるためのチョコレートや水などもきちんと準備されている。廊下がホワイトボードとなっており、大会参加者は討議の結果をホワイトボードに書けるようになっているため、次の議論に参加する人々にとっては非常に役に立つと思われる。我々日本でもまさにこのようなアレンジが求められている。
 企業ミーティングで使うユニークベニューはどういう所が要求されるかについて色々な議論がある。そもそもユニークベニューで企業ミーティングを行う意義とは、経営者が施設の整った企業内で議論して行き詰まった時にユニークベニューを発想転換の場として活用することである。そういう意味で、いかに施設を気分転換の場に変え、参加者の想像力が引き出されるかが求められる。例えば、多くの企業は「見晴らしの良い、より発想力が豊かになる施設」を求めている。現実的に、そのような施設は全国どこでもある訳ではない。新たな議論を進められる素晴らしい場所はいくらでもあり、そこにソフトの部分の工夫を加えることにより、はるかに生産性の高い経営会議が可能となる。それを企業ミーティングの場として提供する発想転換が重要なのではないか。
 以上のように、「ユニークベニュー」とは何か特別の場所ではない。やり方によっては、どんなところでもユニークベニューに成り得る。問題はどんなところでもユニークベニューにする知恵である。それは我々に課せられる課題でもある。インセンティブツアーを行おうとする外国の企業から、よく公園や神社を使いたいという要望がある。神社は宗教的なもので神聖的な場所なので、許可がなかなか下りない。しかし、外国ではそういうところがかなり活用されている。ニューヨークはよく町の一部を借り、映画のロケ地として使う。日本も例えばレインボーブリッジのようなものを貸しきって、インセンティブツアーのテーマパーティーを行うのも一案である。これには行政の協力も必要であるが、施設側とプランナーを含め、関係者の意識的な変化を期待したい。全国の、今まで使われていない新しいユニークベニューを作り出すことにより、より素晴らしい競争力のあるMICEのディスティネーションに日本はなれるのである。